なかなか居場所を見出せなかった〜BE:FIRSTの過去

SKY-HIが2020年に主催したオーディション番組「THE FIRST」で選ばれ、2021年にデビューした7人組のダンスボーカルグループ。今年は、ビバロック、フジロック、ロッキンジャパンにも出演し、ツアーで全国を駆け回る。各局の音楽番組にも出演。ラインミュージックの年間楽曲ランキングでは「ByeGoodBye」が年間ランキング1位に輝いた。音楽性、創造性、パフォーマンス、ビジュアルの進化が止まらない。

「BE:FIRST」になるまで

7人のメンバーは、それぞれ別の場所で、夢を目指して活動していた。けれど、なかなか思ったように活動することができなかった。

「BMSGフェス2022」のオープニングでシュントが「待たせたな」と煽り気味に登場した時は、涙がだだ漏れだった。オーディションの時、つまり彼らがまだ何者でもなかった時から見守ってきたせいか。

彼らを見ていると「やっぱり、夢って叶うんだ」と素直に思えてしまう。

オーディションにたどり着くまでも、グループの一員として選ばれてからも、いいことも悪いことも、嬉しいことも、大変なこともあったのだと思う。当たり前だが、ファンが知り得ないことの方が多い。それでも、彼らを見ていると、色々なことを乗り越えてこそ今があると素直に感情移入することができる。そして、年齢も性別も違う彼らを自分に引き寄せて、「自分が今置かれているままならない状況も、これから自分がなすべきことの大切な一部なのだ」と前向きに捉えることができる。

音楽を諦めかけていたシュント

https://cancam.jp/archives/1037429

「僕が欲しかった声です」
オーディション番組「The First」の中でSKY-HIにそう言わせたシュントだったが、ここまで来るには音楽を嫌いになりかけたこともある。
このオーディションの二次審査で「ファンになりました」という思いがけない言葉で、「全部が報われた気がした。この言葉だけでまた頑張っていこうと思った」という。

SKY -HIが所属するAAA(トリプルエー)に憧れて小1の頃から、歌やダンスのレッスンを受け、エイベックスアーティストアカデミー名古屋校に所属していたシュント。2017年から期間限定で、エイベックスアーティストアカデミー名古屋校のダンス&ボーカルユニット「HIGH-FIVE」のメンバーとして1年間活動。その後、2018年には音楽活動を応援、支えてくれた母親を病で亡くす。2019年にはサバイバルオーディション「a-genic PROJECT」の最終選考には残ったが、メンバーに選ばれることはなかった。

「THE FIRST」のオーディションを受ける前まで、2年間伸び悩んでいた時期があったという。「自分が何のために頑張っているのか、わからない。成長しているのかどうかも、わからない。ずっと毎週泣いていて」音楽を嫌いになった時期もあったという。

「THE FIRST」のオーディションの中で、その苦しい時期の彼が垣間見えるシーンがある。合宿審査で途中で脱落した大山 天との別れのシーンだ。シュントとテンは、前述のオーディション「a-genic PROJECT」でも一緒に切磋琢磨してきた仲間だった。テンと別れる時に、シュントは泣きながらテンを抱きしめ、「絶対音楽やめないで。もっとレベルアップしているところ見せるから。だから絶対音楽やめないで」と泣きながら伝えていたシーンが印象的だった。シュントは、テンと、音楽をやめそうになりかけていた過去の自分にも言い聞かせ、抱きしめているように見えた。

「底がしれない才能」とSKY -HIに言わせたシュント。これから先、どんな新しい彼を見せてくれるのか。「まだ才能の開花は、この先にある」というSKY -HIの言葉通り、彼のさらなる進化を楽しみにしている。

才能を自覚しながら、

           思ったようにデビューできないリュウヘイ

ビーファースト公式Twitterより

「才能を見つけてしまった」

オーディション「THE FIRST」の第二次審査でリュウヘイの歌を聴いた時にSKY-HIが思わず漏らした言葉。

シュントと同じように、この審査を受ける直前まで、リュウヘイも挫折しかけていたという。「才能あると言われていて、デビューしないの?」と言う周りの期待に応えられない自分が嫌いになった。何回やめたいと思ったかと言う。「このオーディションが自分にとって最後だ」と思ってオーディションに臨んだという。オーディションを受けた当時、リュウヘイは14歳。これから夢を考え始めようかという年齢に、最後にしようと決意する感覚に衝撃を受けた。いったいどれだけの練習と努力を積み重ね、自分の音楽について深く考えてきたら、そのような心境になるのだろうか。リュウヘイも5歳でダンスをはじめ、小2からシュントと同じエイベックスアカデミーの名古屋校にも通っていた。2016年期間限定ユニット「CoCo PoP」のメンバーに選ばれ、1年間活動していた。

リュウヘイは、「THE FIRST」の申し子。

そもそも、SKY-HIがオーディション「THE FIRST」を行おうと思ったのは、「ものすごい才能を持っている子がたくさんいるのに、自分のスタイルのままで才能を開花でできる環境が少ないから」だった。

リュウヘイは、SKY-HIが危惧した、まさにその「日本の今の音楽業界で、埋もれてしまうかもしれない才能」だった。才能を持ちながら生かされる場所がない。このオーディションを受けたのは、まさに運命だったと思う。

「BMSGフェス2022」のリュウヘイのMCに涙を流したBESTY(BE:FIRSTのファンの総称)も多かったのではないだろうか。

「みなさんスマホを出してください」で始まり、暗闇の中で無数のBMSGファンによって灯された明かりは、やさしくて、温かかった。「皆さんに支えられています…僕たちを信じてください」そして、ソウタ、レオもそれに続く、ファンに寄り添う素敵なMCだった。

BE:FIRSTは、メンバーそれぞれの居場所を作っただけではなく、BESTYの居場所をも作ってくれた素敵なグループだ。これからも彼らの活躍を応援していきたい。

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